
昨日、表参道に行ってきました。スパイラルホールは久しぶりです。
正直に言ってしまうと・・・・・・私には合いませんでした。微妙でした、このお芝居。
“どうして、こんな風になってしまったの?” と、観劇したあとに呟いてしまった。
演出が舞台に与える影響って、大きいなぁ・・・。
劇団ダンダンブエノ 双六公演
「砂利」
作 本谷有希子
演 出 倉持裕
出 演
蓮見田 ・・・・・・・・ 坂東三津五郎
有里 ・・・・・・・・・・ 田中美里
際(有里の姉) ・・ 片桐はいり
小森橋 ・・・・・・・・ 酒井敏也
戸所 ・・・・・・・・・・ 山西惇
孝生 ・・・・・・・・・・ 近藤芳正
会 場 スパイラルホール (7月21日〜31日)
(他会場)
東京・かめありリリオホール 7月6日
水戸芸術館ACM劇場 7月8日
瑞浪総合文化センター・文化ホール 7月13日
愛知厚生年金会館 7月14日
山口情報芸術センター スタジオA 7月16日
<以下、ネタバレあります。ご注意を!>
ネガティブなことを書いています。読んでいて腹が立ちそうな方は、読まないで下さいね。
ものがたり
真夜中、蓮見田が砂利敷きの庭で石を投げ続けている。内縁の妻である有里はやめるように言うが、蓮見田はカラ返事をするだけで、やめようとしない。
蓮見田は怯えていたのだ。復讐者が自分を襲いに来ると信じて疑わない。真夜中の行動は不安からの逃避だった。
蓮見田の家は、北国にある大きな敷地を有するお屋敷。そこで有里、弟の孝生、亡くなった父親の知り合いで病気養療中の戸所と同居している。
ある日、有里の姉・際が訪ねてくる。蓮見田の子供を身ごもった有里が際に今後のことを相談するため、来てもらったのだ。
実は、蓮見田が復讐に来ると妄想していた人物は際だった・・・・・・
子供のとき、イジメられていたことを際は忘れてしまっています。転校が多かったので、記憶にない。
それを知った蓮見田は妄想から逃れられますが、喪失感に襲われます。空虚な心を満たすものが無くなってしまったことに耐えられない。
話は面白いんですよ。
人のことを覗き見るのが好きな居候の戸所。自分の苦痛が入っているという箱を持って、その隠し場所を探し回る小森橋。この2人が入り、さらに話は混濁していきます。
異質な世界を見せるとき、非現実な展開とそこにあるリアリティとのバランスを取っていかないと陳腐になっていきます。
「その話はもう良いよ」と言いたくなって来る。
舞台上に観客が基本的に同意できる感覚、感受性がないと、面白さを見ることは困難です。
それは、感情の表れかた、言葉や動きのテンポであったり、抑揚であったり、全体に流れる空気であったり。
頑張っていた役者さんには申し訳ないのですが、お芝居が間延びした感じで、見ていて辛かった。舞台の印象が悪ふざけの延長。
舞台の組立て方の問題かしら? テンポも理解の外にありました。
日常にある異質なものへの執着。異常と正常の境界にあって、強い自我を持て余しながらも信じるものを追求してしまう。本谷作品の特徴である強い自意識をもった登場人物をさばき切れなかった感じがします。
役者さんたちも気が付いているのでしょう、工夫していらっしゃるのが分かりました。お疲れ様です。
作家と演出家の組み合わせが上手くいかないと、こうなるんでしょうか。残念です。