
「アルゴス坂の白い家−クリュタイメストラ−」に続いての第2作目です。
初日に行ってきました。
素人目の妄言ですが、ちょっとネガティブなことを言わせていただきます。
第1作の「アルゴス坂の白い家」はそれなりに面白かったのですが、今回はハッキリ言って面白くなかった。というか、なにをやりたかったのか? どこがギリシャ悲劇的で、副題の『クリュタイメストラ』と関係しているのか? 私にはサッパリ分かりませんでした。
伝わってくるものも感じず、緩慢な展開にも馴染めず・・・久しぶりにたっぷりとガッカリしてしまいましたw。
あの本で芝居をやらされている役者さんが気の毒なような・・・大変ですね。
「アルゴス坂の白い家」のときも思ったのですが、どうも私には合わない作風。芸術監督の鵜山仁さんが意図的にこういう作品を狙っていたとすれば、この先が心配です。
ただ、会場はそれなりの反応がありましたので、私の感覚がおかしいのかもしれません。
新国立劇場開場10周年記念
フェスティバル公演
三つの悲劇―ギリシャからVol.2
「たとえば野に咲く花のように−アンドロマケ−」
作 鄭義信
演 出 鈴木裕美
出 演
安田満喜 ・・・・・・ 七瀬なつみ
四宮あかね ・・・・・ 田畑智子
珠代 ・・・・・・・・・・ 梅沢昌代
鈴子 ・・・・・・・・・・ 三鴨絵里子
安部康雄 ・・・・・・ 永島敏行
竹内直也 ・・・・・・ 山内圭哉
安田淳雨 ・・・・・・ 大沢健
菅原太一 ・・・・・・ 大石継太
李英鉄 ・・・・・・・・ 池上リョヲマ
伊東諭吉 ・・・・・・ 佐渡稔
会 場 新国立劇場 中劇場 (2007年10月17日〜11月4日)
<以下、ネタバレあります。ご注意を!>
ものがたり
1951年夏、とある港町の寂れたダンスホール。戦争で失った婚約者を想いながら働く安田満喜。そこへ先頃オープンしたライバル店を経営する安部康雄が訪れる。戦地から還った経験から「生きる」ことへのわだかまりを抱いていた康雄は、「同じ目」をした満喜に夢中になり店に通い詰めるが、満喜は頑として受けつけない。一方、康雄の婚約者あかねは、心変わりした康雄を憎悪しながらも、恋心を断ち切れずにいる。そんなあかねを、康雄を恩人と慕う直也が見守っていたのだが・・・・・・。
(新国立劇場HPから・少しだけ修正しました)
朝鮮戦争特需で好景気の日本。しかし、まだ戦争の傷跡がハッキリとある。飛行機の爆音が聞こえると出演者が身を硬くするところは時代を表そうとしていたのでしょう。
しかし、ここでは特需で財を成した者を成金と言って世間が白眼視していた当時の背景は伝わってこない。満喜に好意を寄せる康雄がその成金なのですが、フィリピンからの復員兵だったことも含めて人物像が掴めませんでした。
満喜が康雄を受け入れ始めるところも、よく分からなかった。なぜ満喜は朝鮮の戦争で儲けた康雄を許せたのか、顔の傷のことを話す康雄のどこに真意をみたのか?
それを台詞で説明されても・・・ね???
最後に女性が3人とも妊娠して、身重の体で未来を語るわけですが、私にはなぜこういう展開にしたのか分からない。売春防止法施行前、既に禁止規定はあったものの、この芝居に出てくるような私娼があった時代。そこでの女性たちは不幸な環境にあったことが少なくなかったはずです。この芝居では無縁なことかもしれませんが、わたしには不自然に見えた。
腑に落ちない。
私が伝わってくるものを取り逃しているのか、感覚が鈍感なのか。
理解できないことだらけで、途中から観るのが辛くなってしまった。
メッセージがあるのだとすれば、私には難解すぎて気付きませんでした。
次の第3作目「異人の唄」は11月から公演されます。
さて、行くべきなのだろうか? (作、演出とも違う人だし、すでにチケを買ってしまったから行くのだろうなぁw)