
本谷さんも、すっかり文化人になっていますしね。
前売チケットも完売だったそうです。
23日の楽日に観てきました。
タイトルの文字が“遍”ではなく“偏”路になっています。たしかに内容も本谷さんらしく偏っていました。(笑)
馬渕英俚可さんのブログに「本谷の本はシェイクスピアより難解だ」と書いてあるのを見て、大笑いしてしまいました。
本谷さんの舞台は、素直に観ていると慌ててしまうのは真実。馬渕さんも上手いこと言いますね。(そういえばお芝居は四国が舞台だけど、馬渕さんは四国の出身ですね)
しかし、以前と比べると大人になってマルくなったなぁという印象を受けました。本谷さんらしく強烈な“自意識”を見せてくれますが、その“自意識”が尖って暴走していくような展開ではありませんでした。
落ち着いてきた『劇団、本谷有希子』、これからこの劇団が変化していく予兆なのでしょうか。
私は物足りなさを少し感じましたが・・・(?) 人も劇団も成長していくのでしょうね。
良いお芝居でした。
ところで、本谷さんのお父様も四国遍路経験者らしい。前に本谷さんが『遍路姿になりたいから四国遍路を始めた』父親のことを変な人だと思ったと言っていたように記憶しています。
今回は、そのお父様がモデルなのでしょうか?(笑)
劇団、本谷有希子 第13回公演
「偏路」
作・演出 本谷有希子
出 演
木多宗生 ・・・・・・ 近藤芳正
木多若月 ・・・・・・ 馬渕英俚可
紺野和江 ・・・・・・ 池谷のぶえ
紺野ノリユキ ・・・・・・ 加藤啓
紺野知未 ・・・・・・ 江口のりこ
依子・カーン ・・・・・・ 吉本菜穂子
会 場 紀伊國屋ホール (2007年12月14日〜23 日)
<以下、ネタバレあります。ご注意を!>
ものがたり
若月は四国にある親戚の家にいる。父親の宗生に会うためだ。毎年、宗生は年末の休暇を利用して四国遍路をしていて、この親戚の家を基点にしていた。
以前、女優になる夢を果すため若月は両親の反対を押し切って東京へ行った。しかし、芽が出ないまま9年が経ち、所属していた劇団も解散してしまった。若月は夢を捨て、実家に戻りたいと思っている。
「お父さん、私、都落ちしたいの」若月は宗生に帰りたいと言う。それを聞いた宗生は激怒する。若月の夢のために家族がどれほど犠牲になってきたかと。
子供と一緒に暮らしたくないのかと若月は言うのだが、宗生は受け入れられない。
そして、・・・・・・
怒った宗生は「わしが、あんたの代わりに上京する」と言い出します。昔と逆の他と場になった若月は、馬鹿なことを言うなと止める。(笑)
若月は逆ギレ、毒を言い放ちだします。驚く宗生と紺野家の人たち。
宗生は奇異な娘を心配し(こんな娘に育てた責任から?)、多々、紺野家の人たちを巻き込みながら、あれこれ騒ぎを起こしてしまう。
そして、宗生は若月を紺野家に置いて、遍路に出てしまいます。
親戚の紺野家の人たちは、夢破れた若月に優しくしてくれます。田舎の暮らしになじめない若月のために色々と世話をやく。
本当は田舎暮らしが嫌いで、都落ちしたショックから立ち直れない若月は、精神的に追い詰められていく。
一週間後に結願(八十八カ所回り終えること)した宗生が帰ってきます。宗生は、回り終えたら煩悩が増えたと言う。そして、自分は旅人になるとも。
宗生は変人です。演じる近藤芳正さんが、良い味を出していましたw。
若月は諦めきれない夢との格闘をするわけですが、結局、善意だけど残酷な周りの人たちにとどめを刺されそうになる。
最後は気持ちの悪い感じになりますが、分かりやすいことになっていました。
面白かった。鋭さがいまひとつもの足りない気がしますが、内側にあるそら恐ろしいゾロリとした感じが面白い。(笑)
次回公演がどんなことになるのか、楽しみです。


今回のチラシとパンフが左の画像。
右は馬渕英俚可さんが7月に出演する「ピーターパン」のチラシ。
今回の本谷公演にあわせて、こういう「ピーターパン」のチラシを作るスタッフに拍手ww。