150131 sansaku rogo T.jpg散策しているような日常のなかで、素晴らしいものが見つけられたらうれしい。
そんなことを考えながらブログを書いています。

2009年03月20日

「昔の女」 新国立劇場

090318 mukashi no onna.jpg演劇のことを書くのは、3ヶ月ぶりですw。
新国立劇場の“シリーズ・同時代【海外編】”の第1弾。ドイツ人作家ローラント・シンメルプフェニヒさんの戯曲をペンギンプルペイルパイルズの倉持裕さんが演出。
海外の先進的な戯曲を取り上げるシリーズだということで、楽しみにしていました。
評判も良いらしく、当日券売り場にも人が並んでいました。凄い。

で、この「昔の女」ですが、話は面白いし、構成も良い。良いお芝居だと思います。
ただ、気になる部分もあって、素直に良さが伝わってこなかったところも。
翻訳劇の難しさというよりも、ドイツ演劇のシュールさが消えていた感アリ。日本で上演することにこだわりすぎたのか?


2008/2009シーズン シリーズ・同時代【海外編】Vol.1
「昔の女」
(ドイツ Die Frau von frÜher)
作    ローラント・シンメルプフェニヒ
翻 訳  大塚直
演 出  倉持裕
出 演
   フランク ・・・・・・・・・・・ 松重豊
   クラウディア ・・・・・・・・・ 七瀬なつみ
   ロミー・フォークトレンダー ・・ 西田尚美
   アンディ ・・・・・・・・・・・ 日下部そう
   ティーナ ・・・・・・・・・・・ ちすん
会 場  新国立劇場 小劇場 (2009年3月12日〜22日)


<以下、ネタバレあります。ご注意を!>
ものがたり
引越しの準備をしているある三人家族のもとに、突然24年前に別れた夫の恋人が現れた。今は長年連れ添った妻も息子もいるという夫に、その女は永遠の愛を誓う約束を果たしに来たと繰り返し迫り、彼を次第に恐怖へと陥れてゆく……
オフィシャルHPから)

フランクとクラウディアは結婚してから19年、アンディという息子もいて、幸せそうに見える夫婦。
そこにフランクの昔の恋人ロミー・フォークトレンダーが訪ねて来るところから、物語は始まります。
ロミーはフランクが24年前に誓った彼女への永遠の愛、いつまでも離れないと言った約束をはたせと言う。それをフランクの妻クラウディアの前で言うところが尋常ではないw。

ヒステリックになるクラウディア。困惑するフランク。

アクシデントがありロミーはケガをしてしまい、アンディが引越し前夜の家に彼女を運び込む。
これがフランク一家の災難の始まりとなるわけです。

結末は、かなり怖いですww。男のいい加減さと、女の怖さは、万国共通のようですw。


良い意味でドイツ人の手による作品らしい、シュールでシニカルなホームコメディになっています。
ティーナはアンディのガールフレンド。別れ難い彼女は遠くに引っ越すアンディを夜通し家の外で待っているのですが、そのフランク一家を見る視線がなせか実に冷ややかw。フランク家から出てきたロミーに理由もなく石を投げたりする彼女は、最後の悲劇的なところでも観察者としてフラン家を俯瞰している。怖いです。
また、アンディもリップサービスはマメなのですが、引っ越してしまえばティーナとは二度と会わない女だと言ってしまう男。フランクも然り。
ロミーは、そういう人の冷たさを暴くために登場してきたキャラクターのように思えます。
そんな人の恐ろしさと愚かさを冷ややかにコメディにしています。

この芝居は、時系列を入れ替えたり、繰り返したりして、エピソードを印象付ける工夫をしています。
多分、原作を読むと、その構成は面白く、インテリジェンスを感じることが出来るものなのでしょう。
ただ、演出家の意図だと思われますが、今回の舞台では、場を繰り返すところで、同じ台詞を違う立ち位置で違う演技をしていました。繰り返してはいるのですが、違うことをやっているわけです。
緻密に組み合わせてくれれば、それも面白いと思うのですが、私は違和感を感じてしまった。
技巧に走り勝ちだったような、楽屋落ち的なことになっていました。
良いお芝居だっただけに、なおかつ、役者さんは実に上手に演じていたので、残念です。
まあ、私は、性格がかなり捩れていますので、少数意見だということでw。

ところで、
松重さんが、七瀬さんにビンタを3回もはられますww。
全公演で、何回ビンタをくらうことになるのだろう?(笑)。痛そうですw。
それに、七瀬さんが、「くされマ○コ」と2回も叫ぶのですが・・・七瀬さんのイメージが壊れそうで・・・・・・ww。

全体として、戯曲の助けもあって、良いお芝居だと思います。
公演は22日まで。


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