
マカファーティーさんの作品が日本で上演されるのは初めてなのだそうです。
パンフによると、この作品は1997年にアイルランドで初演、2003年にマンチェスター、2005年にロンドンで上演されたとのこと。
物語は、タイル貼り職人4人の会話劇なのですが、作者がタイル貼りの仕事をしていたときに書かれたものなのだそうです。
仕事を題材に、冷たい現実をコミカルに描いたシニカルなお芝居でした。
日本人では、あり得ないようなエピソードがあり、興味深かった。
また、日本人の役者さんが、いかにも白人らしく軽い気持ちで仲間の悪口を言うときの違和感が・・・ww。これは演出の問題だと思うのですが、ちょっと辛かったかな。
作品は、面白かったですよ。(念のためw)
会場にはタイルの展示があって、楽しめました。
また、出演者のサイン入りタイルのプレゼントがあっって、

これ、私、当たったんですよ。
なんだか、凄くうれしいです。得した気分ww。
2008/2009シーズン シリーズ・同時代【海外編】Vol.2
「シュート・ザ・クロウ」
(イギリス Shoot the Crow)
作 オーウェン・マカファーティー
翻 訳 浦辺千鶴 小田島恒志
演 出 田村孝裕
出 演
ソクラテス ・・・・・・ 板尾創路
ランドルフ ・・・・・・ 柄本佑
ピッツィ ・・・・・・・ 阿南健治
ディン・ディン ・・・・ 平田満
<以下、ネタバレあります。ご注意を!>
ものがたり
北アイルランド、ベルファストの建築現場で働く4人のタイル貼り職人の1日。今日を最後に仕事をやめるディン・ディンは、大量のタイルを盗み、売りとばすことをランドルフに提案する。が、同じころ別室のソクラテスとピッツィもタイルを盗む計画を立てていた……。
(新国立劇場HPから引用)
登場人物の仕事に対する考え方が私たち日本人とは少し違っています。
長い歴史の中で社会的階層ができてしまっているためなのかもしれません。(残念ながら、日本もこの傾向に進みつつあるようですが)
タイル貼り職人たちは不満を持ちながらも生活のために仕事を続けている。仕事は、皆、嫌いなようです。
しかし、その守るべく生活は、必ずしも幸福だと思っていない。
この日で定年を向かえるディン・ディンは、長年仕事をしてきた結果に満足感もなく、金もなく、後悔ばかり感じている。
ピッツィは、子供をフランスに留学させたいが、手元に金がない。
現状を打破するために考えたことが、建築現場にあるタイルを盗んで金に換えること。なんとも、ショボイw。
笑えるお芝居なのですが、カラカラと笑える訳ではありません。
結局、4人は企みから現実に引き戻されることになるのですが、ここが何とも悲しい。
仕事と仲間と家庭とは? ということを問いかけています。
今を代表する劇作家の芝居だと、新国立の企画者は言っています。
たしかに、いかにもイギリス人らしい作品といえるのかもしれません。
≪午後に仕事があっても昼休みにビールをあおる。オペを控えた医者でも飲む。≫
≪定刻になると、仕事はすぐにやめる。配管工事の途中でもやめるw。≫
≪役所、銀行はもとより、サービス業などでも普通に客を待たせる。≫
労働は生活のためだと、割り切っているのですね、多分。
若い日本人に、どういう仕事をしたいですかと聞くと、
「人の役に立つことをしたい」と答える人は少なくありません。
「楽して、儲かる仕事」と悪びれず言える人は少数派でしょう。(最近は違うのかな?)
この芝居を観ていて、そんなことを考えてしまいました。