
久しぶりに、お芝居のことを。
先週の金曜日、初日に観てきました。
去年10月の「幸せ最高ありがとうマジで!」はパルコの公演だったので、劇団、本谷有希子の本公演は13回公演の「遍路」から1年半ぶりということになりますね。
観た感想としては、“本谷さんも大人になったな”というもの。良い悪いではなく、必然だと思いますが、回を重ねるごとに変化していますね。
人間の強い自意識と捩れた精神を観せてくれるのは、変わっていません。そのあまりにも直截的だった表現が、今回は流れの中で分かりやすく舞台上で展開していました。
終演後、松尾スズキを超えたという言葉が聞こえてきましたが、本谷さんは松尾さんとは違う土俵でやっていると思うので・・・比較するのはどうかな?
久しぶりに面白いお芝居を見ました。オススメです。
劇団、本谷有希子 第14回公演
「来来来来来」
作・演出 本谷有希子
出 演
りょう 佐津川愛美 松永玲子
羽鳥名美子 吉本菜穂子 木野花
会 場 本多劇場(2009年7月31日〜8月16日)
新潟公演 りゅーとぴあ(2009年8月18日)
大阪公演 サンケイホールブリーゼ(2009年8月21日、22日)
北九州公演 北九州芸術劇場中劇場(2009年8月25日)
<以下、ネタバレあります。ご注意を!>
ものがたり
山間の小さな集落。蓉子(りょう)は、この町の麩焼き場で麩を揚げて働く、新婚ほやほやの奥さんである。嫁ぎ先の夏目家には鳥を溺愛するあまり、自作の鳥園を作っては近所の子供から入園料を取る、商魂たくましい義母(木野花)と、長男の嫁(松永玲子)がいた。麩揚げ場には村の女達も働きに来ている。蓉子も馴染みつつあったそんなある日、新婚一ヶ月で夫は突然、失踪してしまう。
山に捜索隊も出たが見つからず、村では義母の面倒をみる嫁を身代わりにして失踪した、と噂が広まる。東京から嫁いできた蓉子に、親切とお切開で「あんたも出て行ったほうがいい」と忠告してくれる者もいたが、蓉子はきっぱり噂を退け、旦那を信じて待っている。
旦那がいなくなってからも、義母は使い勝手のいい蓉子を手放そうとはしない。働き者の蓉子は義母に命じられ、鳥を世話し、食事の支度をし、麩を揚げ続ける。
鳥の世話をして旦那を待ち続ける蓉子の夢は、鳥園のつがいの孔雀がいつか羽を広げるところをみることだった。前に一度だけ羽を広げたところを夫と眺めたことがあり、その時が幸せだと感じたのだ。思い出を心の宝物にしながら、彼女は慎ましくせっせと暮らしていた・・・・・・
(劇団、本谷有希子のHPから)
蓉子は、夫が自分を身代わりとして夏目家に置き去りにし、失踪したことを知っています。義母、兄嫁などからの尋常ではない仕打ちに耐えているのは、『逃げたくないから』。蓉子も尋常ではない。
仲が良くなった高校生の女の子(佐津川愛美)は、そんな蓉子のことを心配します。
仕打ちがエスカレートしていき、女の子が「顔についているのはなに?」「前は鳥の糞だったけど、人糞までつくようになるなんて・・・」と蓉子を見て泣きます。救われない感じですね。
兄嫁は、義母との戦い(?)で余裕はなく、蓉子のことを思い遣ることができません。家事や義母の世話などを蓉子に押し付けていきます。そんななか、蓉子の唯一の夢である孔雀が義母、そして兄嫁の手にかかり・・・。
蓉子は耐えることで、現状からの逃避をしているわけですが、孔雀の一件でスイッチが入ってしまいます。
しかし、その後とった行動は・・・私には考えもしない展開でしたw。
私の硬い頭で考える常識と舞台上で展開する物語との乖離が凄くてww。面白いです。
ここで出てくる、自分を捨てた夫を待つとか、義父に対する感情とか、正直に言うと分からないところもありました。女性の感情的思考というか、生理的執着心のようなものが理解不能。そういう私の頭の中にはないものを生々しく見せられて、混乱したww。
多分、そういうことも想定内のお芝居なのだと思います。『客観的には観させないぞ』というような。
そう考えてみれば、ある意味、非常に分かりやすいのかもしれません。
吉本菜穂子さんが良い味を出していましたw。怖い人たちの中で、ホンワカとゆるいキャラを演じていました。
りょうさんは、舞台は2回目なのだそうです。不思議な女性をクッキリと見せていました。多分、あのような人物を演じるのは大変なんだろうなぁ。
次回、15回公園は2010年5月、青山円形劇場で行なわれる予定とのこと。
来年は結成10周年になるそうです。次は、どんなお芝居を見せてくれるのかな。楽しみです。