
以下、雑感です。いい加減なことも書いてあるのでご容赦を。
報道によると、新国立競技場の基本設計案が了承されたそうです。
コンペの結果を見たときから、「本当に、これ、造っちゃうの???」と思っていたのですが、どうやら本当に造ってしまうようです。
新国立競技場、高さ下げ70mに 基本設計案、景観を配慮
2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の構想を審議する有識者会議が28日、東京都内で開かれ、周辺環境との調和に配慮して建物の高さを昨年11月の計画から5メートル低くした日本スポーツ振興センター(JSC)の基本設計案を承認した。巨大で景観を損ねるとの批判を受け、75メートルから70メートルに変更した。
解体費を含めた総工費は1692億円で、これまでの見通しから変更はなかった。
グラウンドの芝生育成にも考慮し、太陽光を採り入れるために屋根の南側に透過性の高い素材を使い、大雪に備えて融雪装置を設置する。
(2014.5.28 共同)
景観に配慮して、“5m低くしました”ということですが、75mから70mにしたというだけで・・・見た目で違いが分かるのかしら。巨大であることには変わらないよね。
コンペの応募資格が『高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)、プリツカー賞RIBA(王立英国建築家協会)ゴールドメダル、AIA(アメリカ建築家協会)ゴールドメダル、UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル』のいずれかの受賞者でスタジアム設計の実績がある者ということでしたので(日本で対象となるのは多分6名ほどという厳しい条件)、無難に収まるか、どんでもないことになるかとは思っていたんですよね。私感としては後者になってしまったようで。
ちなみに審査委員の顔ぶれは
委員長
安藤忠雄(建築家・東京大学名誉教授)
委 員
鈴木博之(建築史学者・東京大学名誉教授)
岸井隆幸(日本大学土木工学科教授)
内藤廣(建築家・東京大学名誉教授)
安岡正人(建築環境工学者・東京大学名誉教授)
小倉純二(日本サッカー協会 前会長)
都倉俊一(作曲家)
リチャード・ロジャース(建築家)
ノーマン・フォスター(建築家)
外国人審査員について簡単に書いておきますと、リチャード・ロジャースはイギリス人の建築家、あのロイズ本社ビルを設計した人です。ノーマン・フォスターもイギリス人建築家、香港上海銀行香港本店ビルを設計した人です。(私は香港上海銀行香港本店ビルを見たときの衝撃は忘れられません、素晴らしい建築物です)
2人とも斬新なデザインをしています。モダニズムの流れを汲むハイテクノロジーなデザイナー。
なんとなく、審査委員長主導で決められたような気がします。根拠はありませんがw。
新国立競技場基本設計案ですが、都庁舎のデザインを見たとき(昔のことです)よりも違和感が大きかった。巨大な土木構造物を杜を削って作るのかと・・・。
東京は、ダイナミックなところと伝統的なところが混在していて、それが不調和な混在にならぬよう腐心し、それでいて身近な自然を大事にする街づくりをして来たはずです。
いまさらですが基本的なことを書きますと、都市のデザインは他の芸術と本質的に異なっています。都市のイメージは変化していくこと、そして、満足できる都市の形態をつくるためには、エレメントの特徴、これらの相互作用を考慮して組み合わせる必要があるのです。心地よい都市とは環境イメージの鮮明さと一貫性が決定的条件になります。
都市環境の向上は、まさにデザイナーや建築家の責務であるはずなのです。
あの外苑の環境下で、この建物・・・槇文彦先生が色々と心配されるのも分かるような気がします。
異論が多出したので、聞く耳があるのなら、次善の策を模索してくれるだろうと期待していたのですが、そうはならないようです。
それにサブグラウンドもないとか、実務をする人も頭が痛いでしょうね。
私的には、サッカー観戦するときのことを考えるわけです。
見やすいかどうかは、これから実施設計でがんばってもらうとして、問題は芝生と防音。
これは芝は育たないでしょうね。これも、“テクノロジー”で解決するのでしょうか? 味スタでも日光の透過性を考えた屋根材を使っていますが、苦労しているようです。
防音は考えてないでしょうね。どうするんでしょうか??
景観とか、あれやこれや考えても、どんでもないことになるような気がしてなりません。オリンピック開催というスケジュールがあるのでしょうが、今一度、考えてもらいたいな。
ラベル:都市計画