
新国立競技場の建設計画で、応募された2チームの設計施工案のうち、大成建設・梓設計・隈研吾氏で構成するチームの案を採用することになったと発表されました。
JSCの審査委員会(委員長=村上周三 東京大名誉教授)の審査結果は、A案(採用された案)は610点、B案は602点で、A案は工期短縮の項目で177点(B案は150点)と高い評価を得た、ということです。
審査結果
A案 B案
<コスト・工期>
業務の実施方針(20)
112 104
事業費の縮減(30)
31 28
工期短縮(30)
177 150
維持管理費抑制(10)
44 50
<施設計画>
ユニバーサルデザインの計画(10)
48 53
日本らしさに配慮した計画(10)
50 52
環境計画(10)
54 50
構造計画(10)
52 55
建築計画(10)
42 60
合計点
610 602
※()内の数字は、委員1名当たりの配点
※表示された点数は、委員7名の合計点
A案: 大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所 共同企業体
B案: 伊東豊雄建築設計事務所・日本設計・竹中工務店・清水建設・大林組 共同企業体
公開された点数を見ると、審査に当たって重要視したのは事業費と工期だということが分かります。結果的に事業費縮減の差はなかったようですが、工期短縮の評価の差が審査結果に直結してしまったようです。
2案が発表されたときに書きましたが(「新国立競技場 2案を公表」)、私の目から見るとB案のほうが良く見えました。
特に、建築計画の部分。審査委員会でもB案の建築計画を評価していますね。私の見た目では、意匠的なフォルム、構造物のデザインなど、大差があるように思えます。
あと、A案の観客席は3層になっています。経験上(サッカー観戦したときという意味ですw)、座席曲線の取り方で、見え難いか、怖いかのどちらかになりがちなんですよね。
さらには、(これも私の目から見るということですが)東京の環境を考えるに、夏は暑く、冬は極寒のスタジアムになりそうな気がします。特に観客席は。
それ以外にも部材の多さとか、メンテナンスのこととか、雨仕舞い(雨漏りしそうw)とか、言いたいことが多々あるのですが、まあ、私なんかよりも、審査した先生方のほうが分かってらっしゃるので(当たり前だww)、信じて完成を待つことにしましょう。
追記:テレビ番組などで、「A案が五重塔のような・・・」と言っていたのでビックリしたww。こういう不見識なことを言ってはいけませんね。(縦格子にした軒裏が垂木に見えるでしょうという提案書の内容から引っ張ってきたのかしら?)
改めて思うに事務局としては、工期を最重要視して、建築としての価値とか、維持経費のことなどは度返ししたのかと。審査した先生方は、ご苦労されたと思います。お疲れさまでした。
ちなみに、こちらがB案

審査されたメンバーを上げておきます。
<技術提案等審査委員会 委員名簿>
秋山哲一 (東洋大学教授 建築生産)
工藤和美 (建築家・東洋大学教授 建築計画)
久保哲夫 (東京大学名誉教授 建築構造)
香山壽夫 (建築家・東京大学名誉教授 建築計画)
村上周三 (東京大学名誉教授 環境工学) ※審査委員長
深尾精一 (首都大学東京名誉教授 建築構法)
涌井史郎 (東京都市大学教授 造園)
<前に書いた関連エントリー>
2014年05月29日 新国立競技場 基本設計が決まったそうで
2015年05月20日 新国立競技場 計画見直し
2015年07月17日 新国立競技場 計画を白紙、ゼロベースで見直し
2015年12月14日 新国立競技場 2案を公表

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