以下、メモとして、簡単に。



生理学・医学賞は、
ウィリアム・セシル・キャンベル(William Cecil Campbell アイルランド・アメリカ ドルー大学)
大村智(北里大学教授)
屠ヨウヨウ(トゥ・ヨウヨウ ヨウは口へんに幼 中国 中国中医科学院)
大村教授、キャンベル教授はエバーメクチンの発見、イベルメクチンを開発により、象皮症や河川盲目症、リンパ系フィラリア症などの寄生虫による疾病の治療に貢献しました。フィラリアと呼ばれる回虫などを撃退することができる薬です。
屠教授は、古くから漢方薬として利用されていたヨモギ属の植物から薬効成分を抽出、アーテミシニンの発見によってマラリア患者の致死率を低減しました。それまではクロロキンやキニーネを治療薬として使っていましたが副作用が強く、耐性を持つマラリア原虫が増えていた。アーテミシニンの発見は治療に大きな貢献をはたしました。
(→前のエントリー「ノーベル生理学・医学賞 大村智さん受賞」)


物理学賞は、
梶田隆章(東京大学宇宙線研究所所長)
アーサー・B・マクドナルド(Arthur B. McDonald カナダ クイーンズ大学教授)
それまで重さがないと考えられていた素粒子「ニュートリノ」に質量があることを観測、実証しました。この発見は、物質の最も内側の動きについての理解を変えました。
ニュートリノは3種類あり、それは電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノ。
梶田博士のグループは「スーパーカミオカンデ」という施設で大気ニュートリノを観測した結果、電子ニュートリノとミューニュートリノの割合が、質量がないとする理論から導かれた予想と異なっていることを発見しました。これはミューニュートリノが電子ニュートリノやタウニュートリノに変わった「ニュートリノ振動」がおきていると考えられました。
マクドナルド教授のグループは「サドベリー・ニュートリノ天文台」で太陽ニュートリノを観測、ニュートリノ振動の理論に矛盾がない結果を得ました。
光と同じくニュートリノも粒でもあり波の性質も持っています。
ニュートリノの波は、軽い波の方が重い波よりも速く進むので、波にずれが生じます。それらが重ね合わさって波をつくり、波形は進むにつれ変わり、ニュートリノの種類も変わります。つまり、大気中で生み出されたミューニュートリノは、飛んでいくとタウニュートリノに変わり、またミューニュートリノに戻るというように種類が変わって行きます。これがニュートリノ振動。
ニュートリノに質量がないとすると、波が同じ速度で進むので波形は変わりませんから、振動することはありません。
→前のエントリー「ノーベル物理学賞 梶田隆章さん受賞」



化学賞は、
トーマス・リンダール(Tomas Lindahl スウェーデン 米国フランシス・クリック研究所)
ポール・モドリッチ(Paul Modrich アメリカ デューク大学)
アシス・サンジャール(Aziz Sancar アメリカ ノース・キャロライナ大学)
細胞が増えるときにコピーされ続けるDNA。細胞の設計図であるDNAの傷を治す機能、「DNA修復」と呼ばれる機構の解明をしました。
DNAの分子は、チミン(T)、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)という4つの塩基から出来ています。チミンとアデニン、グアニンとシトシンでペアを作り、そのペアが螺旋状のはしごを作っているのがDNAの構造です。
リンダール教授は「塩基除去修復(Base excision repair)」を解明。塩基のペアに異常が発生したとき、間違っている塩基をグリコシラーゼという酵素を使って切り取り、塩基についている糖とリン酸も切り取ります。正しい組合せを持ってきて異常があった箇所にはめ込むという修復を明らかにしました。
サンジャール教授は「ヌクレオチド除去修復(Nucleotide excision repair)」。紫外線によって傷ついた部分のはしごの片側を切り取り、DNAポリメラーゼという酵素が切り取られて一本になったはしごの部分を新たに修復を明らかにしました。
モドリッチ教授は「ミスマッチ修復(Mismatch repair)」。一部を誤ってコピーしたとき、細胞の中にあるMutSとMutLという酵素が誤りを見つけ出します。MutHという酵素が原本がどちらなのかを判断、間違っているコピーDNAの一部を切り取り、正しいコピーを作り出す修復を解明。ただ、人のDNAのミスマッチ修復については違う方法が取られていると考えられていて、現在は解明中とのことです。

文学賞は、
スベトラーナ・アレクシエービッチ(Svetlana Alexievich ベラルーシ)
ベラルーシのジャーナリスト。ノンフィクション作家。
第二次世界大戦に従軍した女性などを扱った「戦争は女の顔をしていない」。第二次世界大戦のドイツ軍侵攻当時に子供を扱った「ボタン穴から見た戦争」。ソヴィエトが軍事侵攻したアフガニスタンを扱った「アフガン帰還兵の証言」。「チェルノブイリの祈り」。など。
それぞれの当事者に取材して書かれているノンフィクションの作品を出し続けているジャーナリストです。
ジャーナリストの受賞は初めてとのことです。
平和賞は、
チュニジアン・ナショナル・ダイアログ・カルテット
2011年の「ジャスミン革命」、チュニジアで独裁政権への抗議デモが広り政権が崩壊、民主化された政治体制ができました。
「アラブの春」の発端ともなりました。中東地域などでは、民主化への運動で政治家が暗殺されたり、対立が激化して内戦になるなど、大きく混乱しました。その中で「チュニジアン・ナショナル・ダイアログ・カルテット」を構成する4つの団体は、与野党の間の仲介、政治家と市民との対話など、新たな政治体制の確立を平和的に進めてチュニジアの民主化に大きく貢献しました。
ただ、地元では微妙な反応もあるようで・・・・・・。

経済学賞は、
アンガス・ディートン(Angus Deaton イギリス アメリカ プリンストン大学)
授与理由を「彼の消費、貧困、福祉の分析に」としています。
「福祉の促進、貧困の削減のための経済政策をたてるには、まず個人消費の選択肢を理解する必要がある。アンガス・ディートンは、詳細な集計をすることで、その結果、ミクロ、マクロ経済学、開発経済学の分野で変革を促した」
とのこと。
ディートン教授は、福祉、貧困対策の研究で、個々の家庭の消費レベル、収入とカロリー摂取量、家族内の性別との関係など、詳細な個々のデータに基づいて、経験的なフィールド、集計データに基づく理論から開発経済学の変革を支えてきた。という評価だったと思われます。
ちなみに、教授の著書「大脱出」では、人類が病気、貧困からの脱出をしてきた歴史を評価しつつも、全ての人たちが脱出できたわけではないことを指摘、あわせて、最貧国への援助をを例に現状への批判をしています。
以上、にわか仕込みで書いていますので、文責はなし、ご勘弁くださいww。
間違っていたら、ごめんなさい。

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